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“Endbreak,Daybreak”

PBWプレイヤー様向けキャラクターブログです、お手数ですが先頭の記事の注意書きをご一読の上お楽しみ下さい。

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「ただ春を待つ」

愛用の手帳はほぼ日手帳! 背後です。
彼氏さんが粋なホワイトデーのプレゼントを下さったので、
嬉しさのあまり勢いで書きますた。反省はしていない。

さとる曰く「早く4月にならないかなあ!」
……どうやら早く手帳を使いたいようです。

柊先輩のことなので、実は前もってちゃんと用意してくれていた
可能性も非常に高いのですが、まあそのSSだからということで!

ちなみに、作中で出てくる「宅配サービス」は
ステシ画面の「ホワイトデーのプレゼントを贈る」ネタです。
金額も忠実に500円にしてみました(笑)

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「ホワイトデー……か、正直、すっかり忘れていた……」

少々しまったという顔でひとりごちるのは柊・草楼。
彼にはバレンタインデーに告白されて付き合い始めた
今ではすっかりラブラブな間柄の彼女が居るのだが、
今までそういった行事とは無縁だったこともあり
また、ゴースト討伐の依頼の相談に参加していたという事情もあって
バレンタインデーのお返しをするホワイトデーのことを
すっかり失念してしまっていたのであった。

さて、どうしたものかと思案した末に
大概の物は何でも揃うという、とある大型雑貨店に足を運んだ。
案の定というか、店内はホワイトデーに関連する商品一色で
特設コーナーまで出来上がっている状態。
そこには草楼同様悩める男性陣が、さてお返しはどうしたものかと
商品を吟味している光景が広がっていた。

「……皆、大変なんだな」

他人事のようにひとりごちながら、特設コーナーを一瞥する。
いわゆるバラエティグッズが多い。見た目はキャンディに見えなくても
包装を解いて見れば実は……、という類のものだ。
しかしこれは、いわゆる「友チョコ」という
軽いチョコへの軽いお返しに過ぎない。
ものすごい努力と勇気を込めて渡してくれたさとるのチョコへの
返礼としては、残念ながらあまりに不釣合いなのであった。

さてどうしたものかと、草楼は今一度店内をぐるりと見回す。
そこでふと目に止まった看板があった。
「春の新生活に! 4月始まりの手帳コーナー」
――新生活。無論自分もだが、そういえばさとるは4月から高校生だ。

『一年間だけですけど、先輩と一緒に高校生出来て楽しみです!』

と、2月頃にはもう出来上がった高校女子夏服を試着して
くるんと一回転、心底嬉しそうにしていたさとるの姿を思い出す。
私服登校上等の銀誓館学園で、律儀に制服を着るさとるの生真面目さと
あの制服のスカートに入った際どいスリットを愛しく思ったものだ。

「――ああ、いやいや、手帳か、なるほど……」

思い出し妄想から軽く首を振って逃れると、草楼は手帳コーナーへ。
数ある手帳の群れの中に「今、売れてます!」と特設コーナーが組まれた
特徴的な手帳を見つける。カラフルなデザインのカバーにボールペン付属、
中身は分厚いながらもめくりやすい絶妙な紙質。
月齢や旧暦、ちょっとした豆知識まで一日分の頁に網羅されている。
しかもカバーの色の中に、さとるの大好きなブルーグリーンがある。

「……これ、か……?」

試供品として封が開いている手帳をパラパラとめくりながらふと思う。

――これは、一年ものだな。

そう、草楼が一度は目をつけたその手帳は、一年間分のもので、
次の年度になったらまた改めて買い直さないといけないのだ。

どうせなら、中身だけ入れ替えて使えるシステム手帳が良い。
必要なリフィルだけ用意して、外側は長く、それこそ一年以上使える。
先に見た手帳と比べれば質実堅剛なイメージになるが、
「一年では終わらない、ずっと一緒に使ってもらえる」
ということこそが草楼にとっては重要なポイントなのであった。

そうと決まればあとはどんな外装とリフィルにするかを決めるだけ。
小一時間程悩み抜いた末に、アルミ素材の外装に
四月始まりのカレンダー一式、フリーノート、下敷きの
三種のリフィルを用意してレジカウンターへ向かったのであった。

店の外に出ると、もうすっかり日が暮れていた。
ホワイトデー当日に贈り物を選ぶという滑り込みをしてしまったことを
理由は様々あったとはいえ少々悔いながら、草楼は帰路を急ぐ。

――ただこれを渡すだけでは駄目だ、まだ、やらないといけないことがある。

自室に帰宅した草楼は、いの一番にカレンダーのリフィルを開封する。
そして、「九月二十日」と「十二月二十二日」の日付に丸印をつけた。
これは言わずもがな、さとると草楼、二人の誕生日。
他の記念日は、これから作って、二人で埋めていけばいい。
一年と言わず、いつまでも、ずっと一緒に。
そんな願いを込めて、草楼は残りのリフィルも手早く本体に取りつけ
後はさとるに渡すだけ、という所まで手はずを整えていった。

-----------------

「……何でもあるんだな、学園のサービスってやつは……」
おそらくプレハブで原稿に勤しんでいるであろうさとるの元へ
向かおうとした草楼の前に立ち塞がったのは、校門前の特設テント。

『ホワイトデーのプレゼント、本日中に彼女の元へお届けします!』
包装・ギフトカードセット 手数料:500円(税込) ……だそうだ。

そう言われてみれば、手帳はむき出しの状態でどうにも味気がない。
いい商売しやがる、と軽く舌打ちをしつつ、テントを覗いてみる。
聞けば、この味気ない手帳に丁寧なラッピングを施してくれる上に
好きなメッセージを書いたカードを同梱して代理宅配してくれるそうだ。
テントはなかなかの大盛況、直接渡すのが恥ずかしいのか
それとも都合があって直接は渡しに行けないのか。
元々この手帳を剥き身で直接持っていくつもりだった草楼だったが、
可愛らしい包装と、メッセージがつけられるというサービスの前に
結局屈する形となり、順番待ちの列に並ぶこととなったのであった。

「メッセージ、か……、直接会えば幾らでも出てくるんだがなあ」
改めて文字にするというのはなかなかに恥ずかしいものがある。
なので、あくまで淡々と、記した。

「贈り先さんは、栢沼・さとるさん……ですねー? 確かに承りましたー!」
「ん? ああ、よろしく頼む」

係員役の女子生徒が心なしか興奮した面持ちだったのは気のせいだろうか。
手数料を支払い、その場を後にする。
このままさとるに会いに行こうか、とも思ったが
折角宅配を頼んだのだ、不意に贈ることで驚かせたいという気持ちが
草楼の中でわき上がった。

――さとる、喜んでくれるだろうか?

もうすっかり日が沈んだ空を見上げて、今日一日やり遂げた充実感を
噛みしめながら、改めて帰路に着く草楼であった。

-----------------

一方その頃、結社「“戦”」内の寮の自室で
さとるは一人クッションを抱えて一日中煩悶としていた。

「柊先輩、……今日が何の日か、忘れてるんじゃないかな……」

時計は既に夜の十一時を指している。
携帯で連絡を取ろうかと何度も思ったが、
何かの催促をしているようで、憚られた。

別に物品をカタチとして欲しいという訳ではない。
それは、もらえたらとても嬉しいけれど。
せめて声だけでも聞けたらと思うけれども、
こちらから電話をするのも前述の理由で却下。
ひたすらに草楼を信じて待つより他にない一日だったのだ。
それも、残すところあと一時間少々。

「……はぁ……」

今日はもう寝てしまおうか。ホワイトデーなんかなかった。
己にそう言い聞かせて、立ち上がったその時、ノックの音がした。

「さとる、居るか? ルーツィエだ」
「! ルーツィエさん、今開けます!」

来客は“戦”の副団長、ルーツィエ・ヴィルヘルム。
テスト勉強の時には厳しく指導してもらったり、
何かとさとるがお世話になっている頼れる副長だ。
しかし、こんな時間に一体どうしたのだろう……?

ドアを開けると、すらりとした美女が、青い包装の何かを持って立っていた。

「学園企画のホワイトデー宅配便だそうだ、……良かったな」

一日中そわそわしてプレハブと寮を行ったり来たりしていた
さとるの様子を見ていたルーツィエは、ふ、と微笑んで包装を渡す。
受け取ると、程よい重みを感じた。いや、この際中身はもうどうでもいい。

「る、ルーツィエさん! ありがとうございます!!」
「はは、さとる、礼を言う相手が違うぞ?」
「! そ、それもそうですよね……、ええと、ええと」
「手紙のひとつでも送ってやれ、それが一番だろうよ」

それではな、と手をひらりと振ってルーツィエ女史は去ってゆく。
その背中に一礼するとドアを閉め、青い包装と対面する。

……何だろう、何だろう……

綺麗にラッピングされたそれを、ゆっくりと解く。
出てきたのは、シンプルなアルミのシステム手帳。

「……! 手帳、そういえば用意してなかった……」

パラパラと中のリフィルを捲ってみる。四月始まりだ。
新学期に合わせて、用意してくれたのだ……。

「……?」

ふと、赤い印が目に入った。九月二十日と……十二月二十二日。

「……!」

それは、さとると草楼の誕生日。既に決められた二人の記念日。
無論、この印が市販の物についている訳がない。

「先輩……」

ふと、包装の中にメッセージカードと思われるものを見つける。
二つ折りのそれを手に取って、ゆっくりと、開く。

『さとる、ホワイトデーの贈り物だ。少し色気がないが……
 これから、いろいろ埋めていこうな』

じわり、と、文字が滲む。
嬉しさで胸がいっぱいなのに、私は何で泣いているんだろう?
手帳とカードを抱きしめて、さとるはぽろぽろと涙をこぼす。
今はまだほとんど真っ白な手帳の中身だが、
それは、これからたくさんの思い出を記録していくための余白。
どんな些細なことも、大きな出来事も、みんなみんなこの手帳に。

「ありがと、せんぱい……、ありがとう……」

それまでの不安感を全て吹き飛ばしたホワイトデーの贈り物を
強く胸に抱きしめて、さとるはしばし涙を零し続けた。

――それから、ひとしきり落ち着いたさとるが
感無量の想いを込めて草楼に手紙を送ったのは、言うまでもない。
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|д゜)

おおラヴいラヴい。
  • チューザレ さん |
  • 2010/03/16 (16:13) |
  • Edit |
  • 返信

(*゚∀゚)=3

半身でこっち見ないで下さいwwwww
おかげさまでラブラブです。えへへ。
  • さとる さん |
  • 2010/03/17 (05:42) |
  • Edit |
  • 返信
  

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ディルアーク・クライン(c18214)
性別:
男性
職業:
魔想紋章士/エンドブレイカー
趣味:
読書
自己紹介:
作成順は二番目であるにも関わらず、一番手のユリシーズを色々差し置いて多分一番人目に触れることが多いPCなのではないでしょうか。現在背後レベルで活動にムラがありますが、遂にランスブルグ編が来たので本気を出しています。

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