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“Endbreak,Daybreak”

PBWプレイヤー様向けキャラクターブログです、お手数ですが先頭の記事の注意書きをご一読の上お楽しみ下さい。

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「Do you love me?」

恋人同士と呼ばれる関係であっても、その関係そのものに
揺らぎや不安を抱くことは稀ではない、と思う。
それこそ夫婦関係の家族愛的領域にまで達しない限り、
互いへの愛と信頼は、常に不安定なものなのではなかろうか。

「……先輩、私のこと、重荷に感じてたりしませんか?」

ここにもひとり、そんな揺らぎに苦悩する少女がひとり。

「情緒不安定、なんでしょうか……、何なんでしょう、これ」
「何なんでしょう、と言われてもな……、何なんでしょう」

そして、それに全く気付かない鈍感な青年がひとり。

『重荷にだって? そんなことはないよ、大丈夫』
その一言があればあっさりと救われた筈の少女の心は、見事に千々に乱れる。
そしてさらに青年が淡々と告げた現実に、何かが切れ飛んだ音がした。

「アレか、俺がなかなか構ってやれないからじゃないのか?
 しかしながら俺も何かと忙しい身でな、現状が精一杯――」
「ええそうでしょう、そうでしょうとも!
 私には先輩しか居ませんけど、先輩にはお友達がたくさん居ますものね!
 しかも先輩のお家には雷先輩は入れるのに私は立ち入り禁止!
 所詮私の存在なんて、猫か何かの愛玩動物程度なんですよね!」

――癇癪を起こした女ほど恐ろしいものはない。
豪快な被害妄想も交えて、少女は涙目で一気にまくし立てた。

「ちょ、ちょっと待てさとる、落ち着――」
「もういいです、せいぜい気が向いた時に構ってくれる程度で我慢します。
 ……今日はもうこの辺にしましょう。それじゃあ!」

勝手にそこまで言い捨てると、少女は今回の舞台であるプレハブ棟の一室を出て
ものすごく乱暴に引き戸を叩き閉めた。振動がプレハブ棟全体を軽く揺らす。
後にひとり残された青年は、後を追うことも出来ずただ呆然とするばかり。

――何が起こったのか、何を怒っているのか、わからない。
理由は少女があらかたぶちまけていったのだが、如何せんこの青年は
致命的に鈍感であり、言葉の端から察するということが出来ないでいた。

「……一体、何を怒っているんだ……?」

青年としては、忙しいなりにも少女のことを一番に考えて
行動して来たつもりだった。一日一度は放課後に会いに行き、
他愛もない会話を他の来客と交わしたり、それで十分だと思っていた。
それが何故突然「自分が重荷になっていないか」という話になるのか?
非常に残念なことに、青年の思考ではまず最初から話が繋がらない。

男なんてそんなものよ、と言ってしまえばそれまでなのだが。

一方、そこまで諦観するにはまだ若すぎる少女は、
こぼれる涙を拭いながら校内を疾駆していた。
(付き合い始めた頃は、あんなにたくさん抱きしめたりしてくれたのに!)
所謂蜜月期の時と比較してしまい、現状に不満を抱いていたのだ。
会える時間が減った。会っても会話するだけ。時間も短い。

しかも聞けば青年が居を置く廃ビルに、彼の弟子である女性は出入り出来るのに
自分は「部外者」扱いということで立ち入りが許されないという。
そしてそこには、青年の友人達が多数集まっているという――。
必然、猛烈な疎外感に襲われ、不安が募った結果が、冒頭の問いであった。

端的に言えば、少女に友人と呼べる存在は、居ない。
もしかしたら相手は彼女を友人と思ってくれているのかも知れないが、
彼女の定義からしたら、あくまでも周囲の人間は
「戦友」か「知人」であり「友人」ではない。
これは彼女の生い立ちに起因する話なので今回は割愛するが、残念な話である。

なればこそ、「恋人」への依存度合も必然高まるというものであり、
それが今回の互いの温度差が原因の大喧嘩――ただし一方的であるが――、の
原因ともなったと言えるであろう。

しかしながら、喧嘩をしない恋人同士というのもまた、おそらく存在しない。
こういう経験を重ねながら、絆を深めていくとも言えよう。
さて、この二人は如何に関係を修復していくのか――。

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性別:
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職業:
魔想紋章士/エンドブレイカー
趣味:
読書
自己紹介:
作成順は二番目であるにも関わらず、一番手のユリシーズを色々差し置いて多分一番人目に触れることが多いPCなのではないでしょうか。現在背後レベルで活動にムラがありますが、遂にランスブルグ編が来たので本気を出しています。

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