忍者ブログ

“Endbreak,Daybreak”

PBWプレイヤー様向けキャラクターブログです、お手数ですが先頭の記事の注意書きをご一読の上お楽しみ下さい。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「人の恋路を応援したい」

「律さんって、絶対片想いしてると思うんですよねー」

そうさとるがこっそり草楼に宛てて呟いたのは、
普段二人が仲睦まじく逢瀬を重ねるさとる所有の部室ではなく、
二人が等しく団員として籍を置く、「銀誓剣術士団」
略して「SSM」の部室にて。
少々奥まった所にて二人でコーヒーを飲みながら、小声で語り合っている。

元々内向的で孤独を好む――ようになってしまったさとるだったが
草楼を始めとした銀誓館の仲間達との出会いと交流を経て、
今や中規模結社の部室に顔を出しては他愛もない会話をするにまで至った。
冒頭で話題に出た「律さん」も、SSMの大切な仲間のひとりだ。
今はさとるや草楼とは少し離れた所で、ひとり茶を啜っている。

「どうしたマイハニー、他人の話とは珍しいな」
「だって先輩気付きません? 律さんの様子おかしいですもん」
「俺はさとるの事しか見てないからなあ……緋山殿の様子までは」
「……(だめだこのひと、はやくなんとかしないと)」

緋山・律、15歳。さとるとは同い年にあたる少年で、
「能力者でありながら戦いを好まない」という特徴を持つ。
さとるとはまた違った意味で人との交流が少なかった所為か、
対人関係で素直になれない節がある。俗に言う「ツンデレ」だ。
リアルで「べっ、別に(中略)じゃないんだからなっ」と
本当に言う。本当に言うのだ。

そこに、さとるが目をつけた。

最近のSSMは入団者が多く、尚且つそれこそさとると草楼のような
「既存の団員と恋愛関係である」者がほとんどなのだった。
その度に独り身の男性陣からは「爆発しろ!」という野次が飛ぶのだった。

ちなみにこの「爆発しろ!」の由来だが、
「リア(ルが)充(実している奴は)爆発しろ!」という
インターネットスラングだったりする。
恋愛ばかりがリアルの充実に直結するとは限らないとは思われるが、
少なくともさとると草楼のようなラブラブっぷりを見せつけられると
チーム独り身(代表:雷団長)からは本当に爆発させたくなるのは事実だ。

話を元に戻すと、四月の冒頭に朔月・緋雨という女性剣術士が入団した。
ちなみに彼女は既存団員である瀬神・昂夜と同棲しているという仲だ。
当然話題は爆発団の方向に行く。団員の歓迎の挨拶はそれはもうカオスだったと言う。

『緋山・律だ。まだまだ精進中の身だが、よろしく頼む。
 ……べっ、別に色恋沙汰に憧れたりとかっ……!』

と、俯きがちに挨拶をしつつ、意味深な発言をしたのを、
さとるが偶然耳にしたのがそもそもの切欠だった。
それ以来、さとるはそれとなく律の動向を観察していたのだった。
片想いの予感。それはかつて、年単位で自分が経験したもの。
それが律への興味へと繋がり、視線を追ううちに、色々と確信した。

緋山・律には想い人が居る。相手の見当も大体ついた。
SSMの部室の中、律のぼんやりとした視線の先には、
凛とした、しかし時にチャーミングな所も併せ持つ
――SSM団長、風間・雷の姿があった。

「片想いって辛いんですよー。先輩、わかります?」
敢えて意地悪く問う。無論、返事は期待していない。
「律さんの片想いも叶っちゃえばいいのになーって、
 こう、応援したくなるんですよ、見てて」
「……そういうものなのか」
「そういうものなんです!」

想いを伝えて、叶わなくて、それまでの関係が壊れてしまうことが怖い。
けれども、愛しい気持ちは止められず、胸は苦しくなるばかり。

バレンタインデーのあの日、人生最大の勇気を振り絞って
自分の想いのたけをぶつけたことを思い出すさとる。
想いを成就させるには、ものすごいパワーが必要だということを
身に沁みて知っている身としては、手助けしてあげたくても
それが叶わないことをもどかしく思う。

自分の時はバレンタインという最高の舞台が用意された。
しかし律にはその機会が望めない。さて、どうしたものか。
そんな余計なお世話を考え始めたさとるは、草楼に問うた。

「……先輩はどうでした? その……私から、告白された時」
「ど、どうってお前、唐突にそんな事を聞かれても」
「さ、参考までに……、言われる側の気持ちも知っておきたくて」
「何の参考にするんだ!」
自然とお互いの手が重なり合う、絡み合う。
当時のことを思い出して、気持ちがいやがおうにも昂ぶる――

『ぅえっへん!!!』
『!!?』

ものすごくわざとらしい咳払いが聞こえ、二人は同時にびくっとなる。
そこに立っていたのは――我らが団長、風間・雷。

「お二人とも、部室であまりいちゃこらしたらどうなるか……
 前にも言いましたよね? 言いましたよね?」
「いやそのあの、違うんです、別にこれはそんなんじゃなくって」
「そ、そうだぞ馬鹿弟子、この程度じゃあ、全然そんなものでは――」
「ばか、先輩!!」

「ど・こ・が・で・す・かーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ピシャーン☆

雷はその名の通り、生まれ持っての電撃属性をその身に宿している。
つい最近も、とうとうメインジョブをサンダーバードにもしたばかりだ。
名実共に雷の使い手となった彼女は、こうして時に鉄拳制裁ならぬ
電撃制裁でバカップル状態に陥った部員を矯正するのだった――。

――そんな様子を遠目に見ていた律は、やれやれといった風に席を立つ。

「……べ、別に、うらやましくなんか、ないんだから、な……」

その後、さとると律が直接面談(?)を果たす時が来るのだが
それはまた、別のお話。

拍手

PR

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
  

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

プロフィール

HN:
ディルアーク・クライン(c18214)
性別:
男性
職業:
魔想紋章士/エンドブレイカー
趣味:
読書
自己紹介:
作成順は二番目であるにも関わらず、一番手のユリシーズを色々差し置いて多分一番人目に触れることが多いPCなのではないでしょうか。現在背後レベルで活動にムラがありますが、遂にランスブルグ編が来たので本気を出しています。

ブログ内検索

アーカイブ

カウンター

バーコード

Copyright ©  -- “Endbreak,Daybreak” --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi 
powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]